No. 11 · 1976
Row House in Sumiyoshi (Azuma House)
Tadao Ando · Osaka, Japan
住吉の長屋(東邸)は、独学で建築を修めた安藤忠雄が1976年、大阪の密集市街地に建てた住宅である。57.3㎡の細長い敷地で、古い三軒長屋の真ん中の一軒を切り取り、要塞のような鉄筋コンクリートの箱を挿入した。外部への窓をなくし、中央の屋根のない中庭へ向けて内部を開く構成は、住まいの通念に真っ向から挑む。敷地の3分の1を占める中庭はこの家の空間的・哲学的な核心であり、光と風と雨を家の中へ引き込み、住まい手を日々自然と向き合わせる。
平面は長手方向に等しく三分される。前後二つの棟の下階に居間と台所・浴室が、上階に二つの寝室が置かれ、その間の中庭の上空を渡り廊下(ブリッジ)が結ぶ。部屋から部屋へ移るには、天候が悪くても中庭を通らねばならない——実用性を捨てたという批判と、詩的な厳格さという賛辞を同時に呼んだ選択である。型枠の跡が生きた打ち放しコンクリートが瞑想的な気配をつくり、ガラス・スレート・木が厳格な内部を和らげる。
1979年に日本建築学会賞を受賞し、住吉の長屋は荒々しい物質性と日本の伝統的美学を結ぶ安藤特有の語法を確立した。それは自然を光と水に抽象化する「光の教会」や「水の教会」といった後の作品へとつながっていく。徹底した簡素さと、快適さよりも空間体験を優先する姿勢は、住みやすさをめぐる論争とともに、称賛と批判の両方を呼んだ。
寒いと訴える施主に安藤が「服を一枚多く着ればいい」と答えた逸話は名高い。当の施主の東夫妻は、その後も35年以上この家を離れなかった——住みやすさ論争への最も静かな反論である。今日この家は建築家たちの巡礼地であり、「建築は沈黙し、自然に語らせるべきだ」という安藤の信念の象徴であり続けている。
- 建築家
- Tadao Ando
- 竣工
- 1976
- 所在地
- Osaka, Japan
- 類型
- Residential
- メディア
- Web3D · WebVR